PROJECT STORY

200万トンの鉄鉱石を
船舶で運べ~東南アジア-オーストラリア COAプロジェクト~

鉄鉱石の輸送サービスで長年にわたる実績を誇るNSユナイテッド海運。
大型船を核に、多様なニーズに応えるサービスを展開しています。
そのビジネスの流れについて、あるプロジェクトを例にご紹介します。

スポット契約

新規の顧客に対し、大型の契約獲得に向けたアプローチを開始。まずは1回だけの「スポット契約」によって、信頼関係の構築に取り組む。
新規の大型案件の契約に至るまでには、顧客との信頼関係の構築に2~3年かかることも珍しくない。東南アジアにある製鉄会社・A社とのケースも同様であった。
A社では、オーストラリアやブラジルから鉄鉱石を運ぶために、世界の海運会社に声をかけた。NSユナイテッド海運は、実績を重ねるための第一歩として、スポット契約と呼ばれる一回きりの航海の獲得を目指し、受注活動を開始。用意できる本船のスペック、運賃、会社の財務状況などを「Questionnaire」と呼ばれる書類にて提出。長期の契約を狙ってあえて低く抑えた運賃戦略が功を奏し、見事、最初の受注に成功する。

COA一括契約

スポット契約の実績により、一定期間に一定量を一定の運賃で運ぶというCOA(Contract of Affreightment)契約を獲得。大型の受注に成功する。
3年がかりでスポット契約の航海を10航海ほど行った結果、A社は、NSユナイテッド海運のパフォーマンスを高く評価。年に何度かA社に出張し人間関係構築に力を入れたことも奏功し、いよいよ鉄鉱石輸送のCOA一括契約のインバイト(打診)がA社よりあった。
1年間にわたって毎月1回、計12航海で約200万トンの鉄鉱石をオーストラリアやブラジルからA社まで運ぶという大型のプロジェクトである。スポット契約時と同様、担当者は受注を目指し、運賃を提出した。
追ってA社より担当者のもとに「successful bidder」というタイトルのメールが届いた。見事に受注である。大型案件獲得の報せに社内は沸き、担当者は祝杯をあげた。
その後、A社とNSユナイテッド海運の経営陣が契約書を取り交わし、正式に契約締結(Clean Fix)となる。担当者は再びA社まで飛び、A社の担当者と「ありがとうございます」「よろしく!」と固い握手を交わした。

本船準備、航海プラン作成

配船は月に1回。日程に合わせて船を用意し、出発に向けて準備を進める。
いよいよ12回の航海で200万トンの鉄鉱石を運ぶというCOAのスタートである。
A社の指定した日程に合わせて、NSユナイテッド海運は、自社船の中からオーストラリアの港に向かう船舶の手配をする。それは東京タワーを横に寝かせたほどの船で、大きすぎてパナマ運河は通れず「喜望峰(Cape of Good Hope)」を周るしかないということからケープサイズと呼ばれている巨大な船舶だ。
担当者は、この船に乗り込む船長に対し、積地や揚地、注意事項を記した「Sailing Instructions」(航海指示書)を通じて細かな指示を送る。無駄な燃料を消費せずに経済効率を追求することは重要だが、一方で潮流や台風などを考えれば常に最短距離がベストとは限らない。最も安全かつ合理的な航路を航海開始前に本船と協議する。
なお、船長を含め、乗組員は全員外国人。そのため担当者の指示は常に英語で行われる。

運航トラブル対応

航行中に船のトラブルはつきもの。万一の際は、安全第一を基本に、その影響をミニマイズするための対応を行う。
日本の港を出発した本船はオーストラリアの積地を目指して、12日間の航海に出た。その状況は本船からの日々のレポートやGPSによってリアルタイムで把握される。
航海中は常に予期せぬトラブルと隣り合わせだ。エンジントラブル、悪天候…。何かトラブルが発生すると、すぐに船から日本の担当者のもとに一報が入り、指示を求められる。24時間、いつ何が起きるかわからないため、深夜や早朝にそうした電話が入ることは珍しいことではない。
一報を受けた担当者は、例えばエンジントラブルなら社内の海務担当者に連絡を取り、技術的な対応を依頼する。同時にA社にも連絡し、状況や見通しを報告する。
トラブルを切り抜けた後は、遅れを回復するための対応を取らなくてはならない。スピードを上げる指示をしたり、航路を変更したり。いかに的確なリカバリーを行うか、担当者のウデの見せ所である。

積込地での積込

オーストラリアに到着後、鉄鉱石を積み込んでA社に運ぶために再び出航。
オーストラリアの港に到着すると、待ち構えていた関係者の手によって、本船への鉄鉱石の積込作業が行われる。ローダーといった大型の重機で、ホールドと呼ばれる船内の箱に鉄鉱石が積み込まれていく様子は、迫力の一言だ。ホールドの数は9。ホールドが鉄鉱石で次々と満杯になるにつれ、10階建てのビルほどの高さの船が沈んでいき、喫水線ギリギリの状態となる。
積込が終わると、本船は鉄鉱石をA社の製鉄所に運ぶべく、A社の専用岸壁に向けて出航だ。
この時点で、NSユナイテッド海運はA社に対して今回の航海の請求を行う。担当者が作成する請求書の金額の単位は億となることも珍しくない。当然ながら燃料代等の支払も膨大なものとなる。

運航完了

A社のもとに鉄鉱石を届けて、COAの第一回目のミッションは終了。続けて次回の航海に向けての準備に取りかかる。
オーストラリアから4日間の航海の後、A社の専用岸壁に着いた本船。ここでA社の手によって鉄鉱石の積み下ろしが行われ、同時に担当者はホッと肩の荷を下ろすことになる。
なにしろ予定通りに到着しなければ、最悪の場合、製鉄所の巨大な高炉の操業が止まってしまいかねない。製鉄所がストップすれば、その先の自動車の製造ラインもストップしかねず、グローバルなサプライチェーンに大きな影響を与えることになるのだ。それほど大きな責任を担っての業務なのである。
しかし、ホッとしたのもつかの間のこと。担当者は残り11回の航海のプランづくりに取り組むとともに、この船を次はどこの港に向かわせて何を運ぶかという、次のビジネスの組立も行わなくてはならない。“巨大な船を空っぽのまま走らせるなんてもったいない!”── スケールこそとてつもなく大きいが、ビジネスとしての本質は、そんなシンプルさにあるというのが面白いところだ。

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